FDAがニラパリブを再発上皮卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん維持療法に承認

米国食品医薬品局は本日、腫瘍が完全または部分的に縮小した(完全奏功または部分奏功)再発上皮性卵巣癌、卵管癌または原発性腹膜癌の成人患者の維持療法薬として、ニラパリブ(商品名Zejula)を承認した。

FDA医薬品評価研究センターRichard Pazdur医師は次のように述べている。「初回治療で奏功した患者にとって、維持療法は重要な治療レジメンの一部である」「ニラパリブはオラパリブと同じ作用機序を持つPARP阻害剤でありながら、BRCA遺伝子変異の有無に関係なく有効性を証明しており、卵巣癌治療薬の新たな選択肢のひとつとなる」 

(中略)

ニラパリブは、損傷DNAの修復酵素を阻害することで、癌細胞の細胞死や増殖抑制・停止をもたらすPARP阻害剤。プラチナ製剤ベースの化学療法で2回以上の治療歴があり、完全奏功あるいは部分奏功している再発上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん患者553人によるランダム化比較試験で安全性と有効性が検証された。

この試験では、BRCA遺伝子変異がある患者、変異がない患者それぞれについて、無増悪生存期間を調べた。BRCA遺伝子変異を有する患者のうち、ニラパリブによる治療を受けた患者群の無増悪期間中央値は21カ月、プラセボの患者群では5.5カ月であった。BRCA 遺伝子変異を有さない患者のうち、ニラパリブ群の無増悪生存期間は9.3カ月で、プラセボ群の患者は3.9カ月であった。

主な副作用には、赤血球の減少(貧血)、血小板の減少、好中球減少症、白血球減少症、動悸、吐き気、便秘、嘔吐、腹痛および腹部膨満、 粘膜炎、下痢、消化不良、口渇、疲労、食欲減退、尿路感染症、肝障害(AST / ALT上昇)、筋肉痛、腰痛、関節痛、頭痛、めまい、味覚異常、不眠、不安、風邪のような症状(鼻咽頭炎)、呼吸困難、咳、発疹および高血圧などがある。関連する重篤なリスクとして血圧、血圧の大幅な上昇(高血圧の危機)がある。

FDAはこの承認申請について、優先承認審査薬指定、優先審査認定、画期的治療薬指定の適用を認めた。 

また、再発上皮性卵巣がんの治療のため、希少疾病用医薬品に指定した。

【優先承認審査制度】

完治が難しい疾患に対し、高い治療効果が期待できそうな新薬をFDAが優先的に審査する制度。指定を受けると、新薬承認申請(NDA)の提出前や申請途中にもFDAとの協議が促進される。

【画期的治療薬指定(ブレークスルー・セラピー)】

重篤あるいは生命にかかわる疾患に関する薬剤の開発および審査の促進を目的とした米国FDAの制度。指定により、承認までの期間短縮のための開発・申請計画の相談や審査資料の段階的提出・審査などの制度が利用可能となる。

【希少疾患治療薬】

患者数20万人以下の希少疾病の新薬開発を促進するための制度。米国で7年間の先発権保護が与えられるほか、政府からの補助金支給や臨床研究費用の税額控除といった支援がある。


翻訳 そら

参考 https://medicinova.jp/know/outline(制度説明)

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