進行再発卵巣癌患者におけるペムブロリズマブ(キイトルーダ)単剤療法の有効性と安全性 第II相KEYNOTE-100試験において客観的奏効率7.4〜9.9%を示す

背景 進行再発卵巣癌(ROC)は、先進国における婦人科がん関連死の主要原因であり、新しい治療法が必要である。免疫チェックポイント阻害薬に関するこれまでの研究では進行再発卵巣がんにおける客観的奏効率(ORR)が低いことが示されており、predictive biomarker(効果予測バイオマーカー)は明らかにされていない。

患者と方法 ペムブロリズマブ(NCT02674061)の第II相試験では、1〜3レジメンの治療歴があり、無治療期間(TFI)またはプラチナ製剤による治療終了後からのインターバル期間(PFI)が3〜12ヶ月ある患者(ROC)をA群、4〜6のレジメンの治療歴があり、無治療期間(TFI)またはプラチナ製剤による治療終了後からのインターバル期間(PFI)が3ヶ月以上ある患者(RIC)をB群とし、がんの進行、毒性が現れるまで、2年間までペムブロリズマブ200 mgを3週間ごとに静脈内投与した。主要評価項目は、PD-L1の発現レベルに準じた客観的奏効率(ORR)で、固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECISTガイドライン)改訂版version 1.1により評価した。副次的評価項目には、奏効期間(DOR)、病勢制御率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、および安全性が含まれる。

結果 A群には285人の患者が登録され、100人はPD-L1バイオマーカー解析のための訓練事例集合(training set)として役立った。B群は91人の患者が登録された。客観的奏効率(ORR)はA群では7.4%、B群では9.9%であった。奏功期間(DOR)の中央値は、A群では8.2ヶ月、B群では未到達を示した。病勢制御率(DCR)は、A群およびB群でそれぞれ37.2%および37.4%であった。また、PD-L1の発現レベルに準じた客観的奏効率(ORR)は、CPS<1の患者で4.1%、CPS≥1で5.7%、CPS≥10で10.0%を示した。無増悪生存期間(PFS)はA群B群共に2.1ヵ月、全生存期間(OS)の中央値はA群は未到達を示し、B群は17.6カ月であった。毒性は他の単剤ペムブロリズマブ試験と同様であった。

結論 進行再発卵巣がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、中程度の抗腫瘍効果を示し、PD-L1発現率の高い患者においては良好な奏効が確認された。


翻訳:そら


参考

★バイオマーカー…治療介入による薬理学的反応において客観的に測定・評価できる指標

★訓練事例集合(training set)…交差検証において最初に解析されるデータ

★未到達…中央値に達していないの意。半数 (50%)が死亡した時点(生存期間中央値)に達していない、半数以上が生存している。

★固形がんの治療効果判定のための新ガイドライン(RECIST)改訂版version 1.1

http://www.jcog.jp/doctor/tool/RECISTv11J_20100810.pdf(日本語訳 JCOG 版)


原文(Annals of Oncology)

https://academic.oup.com/annonc/advance-article-abstract/doi/10.1093/annonc/mdz135/5482567?redirectedFrom=fulltext

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