化学療法抵抗性卵巣がん患者へのPARP阻害薬と分子標的薬の併用はPARP阻害薬単独よりも有効

ダナファーバーがん研究所の研究者は、PARP阻害剤の効果が期待できない卵巣がん患者の3分の1で、分子標的薬を併用したときに部分的に腫瘍が縮小することを確認した。

PARP阻害剤オラパリブと細胞タンパクであるPI3キナーゼαを標的とする試験薬であるアルペリシブを併用した第Ⅰ相試験の結果が The Lancet Oncology誌電子版 に掲載されている。

本論文の筆頭著者であるダナファーバーのPanagiotis Konstantinopoulos博士は「2つの薬を併用したとき、プラチナ耐性の卵巣がん患者の一部で36%という非常に高い奏効率が得られた」と述べている。

研究では悪性度の高い28人の漿液性卵巣がん患者に併用投与を行い、10%で部分奏効(腫瘍の測定可能な縮小)、50%で安定(不変)が認められた。一方、これまでの研究で、PARP阻害薬の単剤療法において奏功する可能性があると考えられた患者は4%に留まっている。なお、併用投与による副作用の多くは想定内のものであり、容易に管理できるものであった。

この試験は、PI3K阻害剤がPARP阻害薬のがん細胞への感受性を高める可能性があるというダナファーバーの研究から生まれたもので、その作用機序は、腫瘍細胞がDNAダメージを受けた際の自己修復能力を無力化するというものである。2剤併用療法に対する奏効期間の中央値は5.5ヶ月で、「この患者群にとっては良好な奏功期間と言える」とKonstantinopoulos博士は述べている。

オラパリブは、遺伝性のBRCA遺伝子変異を有するプラチナ抵抗性の卵巣がん患者の治療薬として承認されているが、この試験では、BRCA変異を有しない患者の31%が併用療法に反応し、変異を有する患者の奏効率33%と比べて極端に低いものではなかった。

「生殖細胞系BRCA変異がなく、プラチナ抵抗性の卵巣がん患者におけるアルペリシブ併用療法は、オラパリブ単独療法により期待できる効果以上のものが得られており、さらに研究する必要がある」とKonstantinopoulos博士は述べた。


翻訳:そら


原文

ダナファーバーがん研究所(プレス)

https://www.dana-farber.org/newsroom/news-releases/2019/combination-of-parp-inhibitor-and-targeted-therapy-significantly-outperforms-parp-inhibitor-alone-in-patients-with-chemotherapy-resistant-ovarian-cancer/

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